国幣中社諏訪神社祭礼還御絵巻(住吉神社の巻)

- 資料番号
- 7
- 作者
- 大久保玉珉
- 年代
- 1925(大正14)年
- 大分類
- 収蔵品
本作品は長崎の秋の大祭「長崎くんち」のお上(のぼ)りの様子を描いたものである。お上りとは、10月7日に本宮から御旅所(おたびしょ)(長崎市大波止)の仮宮へ渡御(とぎょ)(お下(くだ)り)した諏訪・住吉・森崎の三体の神輿が、9日に本宮へ還御(かんぎょ)するという行事。本作品に描かれている神輿は、1878(明治11)年に新調されたものであり、神幸行列の形式も、翌年に明治政府により神式に改められた後のものである。本作品はその行列の内の住吉大社の部分を描いており、先頭から順に、住吉大社の標である「三蓋松」が描かれた旗、隨人、辛(から)櫃(びつ)、太刀、楽人、前駆神職、五色絹・榊(真(ま)榊(さかき))、濯潮、太刀、弓、翳(さしば)、白旗・赤旗、道(みち)神楽(かぐら)、賽物箱、凳子(とうし)(腰掛)、住吉神輿、神馬を見ることが出来る。人々の表情の中に、ハレの場の高揚感と、秋晴れの爽やかな空気とを感じ取ることの出来る、小品であるが充実した作品となっている。巻末に金泥で落款「大正乙丑仲秋 藤原玉珉謹画」、印章「大久保栗蔵」(白文方印)。